和漢のいろは Wakan no iroha
【東邦大学名誉教授 薬学博士 薬剤師】
小池一男先生の花通信【12】マルベリー
こんにちは。小池です。不定期で花通信をお届けしています。今日はマルベリーです。
◆クワの別名、マルベリー
この時期になると美味しい実をつけるのがクワ(桑、クワ科)です。蚕さんの餌用に栽培されるマグワ(真桑)とヤマグワ(山桑)を見分けるのが難しいですね。いまはマルベリー(Mulberry)で知られています。
写真のものは実が大きめで、熟したものをみると花柱がそれほど目立たないのでマグワのようです。ヤマグワは在来種ですが、マグワは中国から栽培用に移植されたものです。
◆マルベリーの実
私の生まれた群馬県は、その昔むかし繭と生糸の生産は全国一でした。実家の近くにもマグワがたくさん栽培されており、この黒く熟した実が甘酸っぱくて美味しい、今風にいえばスイーツでした。何しろ無限というほど実っているのですから、ワンダーランドでしたね。でも、食べる唇や舌が黒褐色というか黒紫色に染まっているので、親にはすぐにばれてしまいました。今でも桑の実を見かけると、子どもの頃の風景が思い出されます。
◆漢方としてのマルベリー
クワの根皮を桑白皮といいます。日本薬局方にも収載され、消炎、利尿、解熱、鎮咳作用があります。漢方では咳嗽、去痰、気管支炎、尿量減少、浮腫を治す五虎湯,杏蘇散,清肺湯に配合されています。
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