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和漢のいろは Wakan no iroha

【東邦大学名誉教授 薬学博士 薬剤師】

小池一男先生の花通信【10】スイカズラ

こんにちは。小池です。不定期で花通信をお届けしています。今日はスイカズラです。

◆スイカズラ、金銀花


スイカズラ(吸葛、Lonicera japonica、スイカズラ科)が咲くと、なんとなく初夏に近づいたなと感じます。花はジャスミンやレモンのような香りがします。近くの農道や里山でよく見かけるつる性の植物です。陽当たりの良いところの方が、たくさん花が咲いているようです。花の咲き始めは白く、だんだんと黄色に変わっていきます。中国では黄色を金、白い花を銀に見立てて金銀花と呼んでいます。

◆虫も大好き、スイカズラ


つる性の茎は、冬でも葉が茂って、寒さを耐え忍んでいる様子から、ニンドウ(忍冬)と呼ばれています。花の付け根には蜜がたまっているため、かすかな甘みがあります。きっと蝶や蜂さんのために用意されたものですね。中国では花のつぼみを集めて乾燥したものを金銀花茶として市販されています。

◆忍冬という生薬

忍冬は日本薬局方収載の生薬で、消炎、解毒、利尿、抗菌を目的に使われてきました。漢方処方では、治頭瘡一方(ちづそういっぽう)で医療用漢方製剤で保険適用にもなっており、湿疹や皮膚炎に使われます。このような由緒ある植物ですが、つる性のためか、農道では刈り取られてしまうことが多いようです。

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