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和漢のいろは Wakan no iroha

漢方新時代の幕開け

こんにちは。和漢SINCA専属薬学博士のTeiです。
少し前のお話になりますが、2018年6月に、漢方にとって大きな出来事がありました。
WHO(世界保健機関)が定める「国際疾病分類」の第11回改訂版(ICD-11)でのこと。
「伝統医学」として初めて、漢方をはじめとする東洋医学が第26章に掲載。
西洋中心だった医学界で、東洋医学の必要性が世界的に認められ、「漢方新時代の幕開け」とも言えます。

膠(にかわ)という生薬

2000年以上の歴史がある東洋医学の一端を担う、漢方薬の原料である生薬。
植物由来、動物由来、鉱物由来、菌類由来と大別できます。
殆どはそのままか、蒸す、炒める等の加工を施して使います。
中でもかなり独特かつ複雑な工程を経てできる「膠」という生薬のジャンルがあります。

膠とは何か

「膠」は動物の皮・骨・筋・角・甲羅等を煎じてできた粘着性のあるものです。ロバ、虎、鹿、犬、亀、タツノオトシゴ等が用いられます。中でもロバの皮からできた「アキョウ」は代表的な生薬です。また、鹿の角からできた「鹿角膠(ろっかくきょう)」、亀の甲羅からできた「亀板膠(きばんきょう)」も常用されています。「膠」は、ゼラチン(コラーゲン)が一番多い成分です。ですが薬効成分はゼラチン以外の成分になります。

鹿骨膠を作っている絵

人気のロクキョウ「鹿骨膠(ろっこつきょう)」の効能効果

「膠」は近年、鹿由来の「鹿皮膠(ろひきょう)」、「鹿骨膠」、「鹿角膠」等が人気急上昇中。今回は、「鹿骨膠」の効能効果を紹介します。

鹿骨膠は、鹿の骨から抽出した生薬です。豚骨スープのイメージもあると思います。スープを濃縮しただけでは薬効がなく、熟練した職人が伝統製造方法で手作りしなければ効く鹿骨膠はできません。

【鹿骨膠の漢方薬としての効能】

●帰経(薬効の標的部位)…腎経、肝経
●効能…虚を補い、筋骨を強める
●主治(どの様な症状に用いるか)…虚弱体質、 貧血、リウマチによる四肢の痛み、筋骨の痛み、腰痛、歩行困難等

論文も多数

他にも腰椎・頚椎等の椎間板ヘルニアによる腰・首の痛み、関節痛、骨粗鬆症、頻尿・尿漏れ、勃起障害(ED)等。
臨床治療データをまとめた論文が多数発表、動物実験では、抗疲労、免疫増強、抗酸化等の機能性があることも明らかにされています。
次回は効能効果をより詳細に解説します。


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