和漢のいろは Wakan no iroha
ストレスとシミの深い関係
こんにちは、漢方&薬膳アドバイザーの杏仁美友です。
知人に、会社の会議がかなりのストレスで、会議が始まると両腕にボツボツと湿疹が広がり、終わると潮が引くようにサーッと消えてなくなる人がいます。
◆ストレスの影響
このように、ストレスの原因は会社、オーバーワーク、人間関係などひとそれぞれです。そして漢方ではこのストレスと深く関わりがある五臓を「肝」としています。
◆とても重要な「肝」
肝は胆汁の生成、エネルギーの代謝、解毒などの肝臓の働きだけでなく、漢方では気のめぐりをスムーズにして自律神経のバランスを調節したり、血流量をコントロールする機能があるので、生理や更年期トラブルにも重要な役目を持っています。気の流れが滞ると、肝の経絡につながる胸脇や乳房、小腹部などに痛みを感じたり、感情をうまくコントロールできずにイライラしたり、憂うつな気分になったりします。
◆気と血
また、肝が血流量をコントロールする働きがあるといいましたが、気と血の関係は密接です。気の流れが滞れば血の流れにも影響が出やすいとされます。つまり、ストレスによる気の滞りにより、血行不良になることが少なくないのです。
◆シミの原因
さて、この血行不良ですが、漢方ではシミの主な原因のひとつになっています。シミは加齢や紫外線などの影響もあります。でもここで注目したいのが、ストレスや女性ホルモンによるもの。これらのシミは「肝斑」と呼ばれます。ほお骨のあたりを中心とし、左右対称に出やすく、なんとなくもやっとしているのが特徴です。年齢的には30代~50代に多いようです。
◆肝斑はどうする
この肝斑は紫外線などによる外的なシミではないです。だからレーザー治療では不完全だったりします。それで漢方薬をふくめ内服薬での治療法があります。桂枝茯苓丸、加味逍遙散などは、血流をよくしたり、ホルモンバランスを整えてくれる漢方薬です。そして肝斑の治療にも用いることができます。いいかえれば、ホルモンバランスを調整し、血行がよくなるので、肝斑だけでなく、生理トラブルが解消されるケースも大いにあります。
◆お肌にアプローチしたい
ただし、外科的手術を施すわけではないので、漢方薬を飲んだからといって即シミがなくなったり、生理痛が改善されるわけではありません。漢方のいいところは表面的な治療ではなく、根本的な部分から立て直すところにあります。体質が改善された上にお肌までキレイになれるなんて、こんな嬉しい副産物はないですよね。
◆肝のリンク先
ちなみに、肝斑の名の由来は、肝臓の形状や色と似ているからいう説があります。肝臓の機能とは無関係ということです。しかし、漢方で肝は最初にお話したとおり、自律神経やホルモンバランスとリンクしているのです。
「酒と泪と男と女」という昭和の名曲がありましたが、ここはひとつ「肝とシミとストレスと女」と呪文のように覚えてしまってはいかがでしょうか………?
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