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和漢のいろは Wakan no iroha

【東邦大学名誉教授 薬学博士 薬剤師】

小池一男先生の花通信【77】シクンシ

皆様こんにちは、小池です。朝、可燃物の回収日だったので出しにいくと、回収所がとても良い香りでした。ローズマリーを剪定したのでしょうね。たくさん出されていました。こんな日もあるんですね。花通信をお届けします。今日の花はシクンシです。

◆シクンシという生薬

東京都薬用植物園の花、シクンシ(使君子、Quisqualis indica、 シクンシ科)です。温室の天井高くまで、つるが伸びて花を咲かせていました。日本では馴染みのない花で、温室でしかみられません。温暖化がすすめば、どこでも見られるようになりそうです。シクンシの成熟した果実と種子を生薬で使君子といいます。生薬は回虫や蟯虫などの駆虫薬、整腸薬、健胃薬に用いられました。

◆シクンシは天からの授かりもの

幸い日本では、衛生環境が整っていますので、使われることはないのですね。そういう意味で使君子の名前は「天子から授かったほどの貴重な薬」に由来します。今から35年ほど前、インドネシアへ植物調査に2回、3週間ほど出かけました。ガイドブックには生水を飲まないようにと記載されていましたが、それは無理な話であることにすぐに直面しました。どうも、それ以来お腹の中に虫がいるようです。それは弱虫。

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