menu close

和漢のいろは Wakan no iroha

不思議な鹿角のあるある

皆様、こんにちは。Dr.Tei Kenです。
まず、鹿角の仕組みに関してのお話です。意外に知らない方が多くて、ビックリしたことがあります。考えてみれば、鹿角は大変不思議だなぁと思います。

成長サイクルの不思議

鹿角は毎年落ちます。え、落ちるの?多くの方の率直な反応です。二ホンジカは、オスのみ角が生えます。オスの鹿は生まれた翌年の春以降に角が生えます。この時は小さな1本角です。翌年の3月頃この角が落ちます。そして4月以降に枝が1つある角が2本生えてきます。それ以降、毎年このサイクルが続きます。4歳までは枝が増えながら角もどんどん大きくなります。4歳以降、枝は増えずに角が大きくなっていきます。
鹿の落とし物

すごい再生力の不思議

鹿の角は、哺乳動物で唯一、完璧に再生できる器官です。春に生えてくる角は、柔らかく外側に皮があります。そして中にはたくさんの血管があって栄養を運びます。平均的に1日2~4mmのスピードで成長します。でも時には1日2cm以上の成長も!1日2cm以上も伸びたら、発育期の子供も負けますね。どれだけ栄養分を送っているのでしょう。大昔から「神獣」や「神の使い」といわれる鹿。この早い再生が「神速」で不思議だと感じたからかもしれません。

袋角が鹿茸に

この頃の角は「袋角(ふくろづの)」と呼ばれます。これを切り落とすと、生薬の「鹿茸(ろくじょう)」になります。そのまま約75日間成長すると、柔らかい角が骨質(カルシウム)に変わります。さらに外側の皮も剥げ、9月頃に硬い角になります。その後迎える9月~10月の発情期。この角でメスにアピールしたり、オス同士角を突き合わせて争います。

薬用価値の不思議

日本では、前述の鹿茸と鹿鞭を除いた鹿製品は食品扱いです。漢方医学において鹿製品は食品として美味しくいただけます。その一方で、専門的な技術を用いて加工すれば明確な薬効を持つ上品の「くすり」です。法規定及び専門的な技術がなかった日本では、鹿が医薬品として浸透していなかったのです。

鹿角からできる生薬

「鹿角」を使って、生薬「鹿角膠(ろっかくきょう)」が製造できます。その残渣も生薬の「鹿角霜(ろっかくそう)」になります。鹿の角の付け根の部分を「鹿角盤」といいます。これが30~50代女性によくみられる疾患に効きます。特に出産後の授乳期、約20〜30%の割合で発症する病気に大変効果があるといわれています。まさに女性の守護神ですね。詳しくは次回に解説します。


こちらもよく見られています

未病ケアを知っていますか 疲れをなんとかしたい アキョウが美容にいいって本当?