和漢のいろは Wakan no iroha
コオロギ食、薬学博士の見解
皆様、こんにちは。Dr.Tei Kenです。
昆虫食のコオロギ給食が大きな話題になっていました。推進派の意見では、コオロギは家畜と比べ環境負荷が少ないとのこと。またタンパク質が豊富で、将来の世界的な危機を救うと主張。一方、嫌悪感や衛生面、安全性の理由で昆虫食に反対する方も大勢います。
生薬視点の昆虫食、コオロギ食について
私は小さい頃からカイコを食べてきました。東阿アキョウ社の本社(山東省)ではご当地名物・セミの幼虫の素揚げが接待に出たこともあります。蜂の子は珍味としても知られていますね。個人的に昆虫食は歴史ある食文化の一つとして、地域に限定された消費なら問題ないと考えます。しかしながら、コオロギ食に賛同することはできません。
漢方の虫薬とは
薬用人参、甘草など植物由来の生薬は良く知られています。動物由来の鹿茸、アキョウも有名です。石膏、滑石など鉱物由来の生薬は石薬。茯苓、霊芝など菌由来の生薬も。昆虫由来の生薬は虫薬で、ジリュウ(ミミズ)、シャ虫(ゴキブリ)も薬効のある生薬です。高価な冬虫夏草は菌に感染した虫です。
コオロギにも薬効が?
コオロギの生薬名は「シッシュツ」で【本草綱目】をはじめ、多くの薬物書に収載。主に利尿効能があり、尿閉、水腫、膨脹(鼓腸)を治します。「出産が遅れた場合、乾燥したもの1匹を煎じ、服用させる」と、難産への使用もあります。ある中国の名医は虫薬の使用に長け、シッシュツの薬効を臨床報告論文で発表しています。
コオロギ食に含まれるもの
一方、シッシュツには「小毒(若干の毒)」もあります。毒は「毒薬」の毒ではなく、副作用のような、生体の正常な生理機能を阻害するものを指します。例えば水毒の水は毒性がないですが、身体に異常に溜まった場合、問題になりますよね。シッシュツの「小毒」の副作用についての資料は見つかりませんでした。ですが、「妊婦は使用してはならない」と薬物書の記載があります。
薬学博士のコオロギ食への見解
コオロギをタンパク源として食に供することは反対です。生体の正常な生理機能を阻害するタンパクを含有するリスクもあります。たまに食べるなら問題ないかもしれません。しかし常に摂取しても良いとなると話は別です。ましてや子供も老人も摂取して良いと宣伝するのは無責任を極めます。コオロギ粉末をタンパク源として推奨する前に、タンパク質含量が高く値段が比較的に安いエゾシカ肉をおすすめします。漢方的に滋養強壮や冷え性にもいいですし、安全でおいしいです。
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