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和漢のいろは Wakan no iroha

亀板と亀板膠の効能とは

皆様、こんにちは。Dr.Tei Kenです。
今回は弊社グループ会社の北海道鹿美健株式会社を紹介します。国内唯一の薬用食用「膠」メーカーとして設立。鹿皮膠、鹿骨膠、鹿角膠等の鹿膠をはじめ、亀板膠、鼈甲膠も製造しています。これらの膠は、いずれも素晴らしい薬効があります。長い年月を経て、人々の健康や美容に役立っています。これらの膠を紹介したいと思います。
北海道鹿美健株式会社社屋

長寿を象徴する亀

亀は、鹿と同じく、古から瑞獣(ずいじゅう)の一つ。「霊亀(れいき)」と呼ばれていました。日本においても「亀は万年」と言われます。「長寿を象徴する吉祥の動物」とされ、めでたい生き物として尊ばれています。また、甲羅の紋様の六角形は吉兆を表す図形ともされています。現在でも縁起物として、様々な場面に取り入れられ珍重されています。

亀は万年ってホント?

万年は無理ですが、亀には健康長寿、即ちアンチエイジングの作用が確かにあります。生薬として亀板と亀板膠があります。亀板は2種類あり、腹面(下)の甲板は腹板あるいは腹甲。そして表(上)の甲板は背板あるいは背甲と呼ばれます。

亀板の投薬について

亀板に関する調査論文によると、宋王朝までは腹板と背板は区別せずに投薬されていました。元、明、清王朝の時代。腹板は一番薬効が良いとされ、専ら使われていました。近代になって、また腹板と背板は区別せずに使われるようになってきました。亀板は、最古の本草本【神農本草経】に「上品」として収載されています。

亀板は上品

「上品」とは「養命薬(生命を養う目的の薬)。無毒で長期服用が可能。身体を軽くし、元気を益し、不老長寿の作用がある。」と日本薬学会のHPに紹介されています。ちなみに、その薬用歴史は2000年を超えます。

亀板の効能

【中薬大辞典】にはこう記されています。陰を滋う、陽を潜ませる、腎を補う、健胃する、の効能がある。腎陰不足、骨蒸による労熱、吐血、鼻出血。久咳、遺精、崩漏。帯下、腰痛、骨痿(くる病)。陰虚風動(陰虚でめまいし、手足が痙攣する症状)。慢性下痢、マラリア、痔、小児の泉門の閉じないものを治す。ただし、妊婦が服用してはなりません。

亀板よりも優れた亀板膠

亀板膠は、亀板を煮詰めてできた膠です。紀元307年頃に道教の医者に初めて作られたそうです。薬用歴史は2000年以上。対して、亀板膠の広範囲使用歴は400年ほどしかありません。その原因は、膠の製造が難しいこと。それと、約10kgの亀板から1kgの亀板膠しか得られないからです。ただ、昔はほとんど煎じ薬の形で服用されたのです。ですから、実はある程度亀板膠になってから服用されていたと思われます。

亀板膠の効能効果

亀板と似ています。1769年に発行された薬学本【本草求真】。「亀板膠は、亀板を煮て作るので、気味は陰を益す。ゆえに【本草綱目】に「亀板膠に及ばない」との説が載る。<中略>亀板を用いるよりも亀板膠を用いるほうが良い」と記載されています。また、1624年に発行された【本草正】。「亀板膠の効能は亀板と同じであるが、性味はより濃厚であり、もっとも純陰であり、孤陽を退けることができる」と記されています。亀板膠のほうが優れていることが明白になっています。

亀板膠を配合した名薬

特に1624年に、歴史上でも有名な医者である張景岳氏が医学本【景岳全書】を出版。彼の臨床経験により作られた有名処方「左帰丸」が収録されました。この滋養強壮、アンチエイジング名薬の「左帰丸」は、亀板ではなく亀板膠を配合。これが後世に大きな影響を与えました。現在に至っては亀板膠を配合するのが主流になっています。
左は腹板右は背板

妊婦は服用不可!亀板のリスク

ちなみに、国内で流通している一部のサプリメントの原材料表を確認しました。すると、「亀板末」「亀腹甲末」等が書かれています。即ち、亀板の粉末であって、亀板膠ではありません。コストを下げたい気持ちは分かりますがこれはNG。上で述べた通り、妊婦が服用してはならないものです。にもかかわらず、亀板末を配合したサプリを「妊活サプリ」とうたって売り出しています。可能性として消費者、妊婦や予備軍に害を与えるリスクがあります。漢方系の会社なのに、その無知ぶりは非常に残念でなりません。妊活中の方、くれぐれも知識を持っていただきたいと思います。

亀板膠の配合

注意事項として、もう1点あります。亀板膠は、性が陰寒であって、よく陽気を消します。ですので陽を養う生薬との配合使用が望ましいです。その代表例は鹿角膠です。亀板膠と鹿角膠のセットで有名な処方は「亀鹿二仙湯」です。「亀鹿二仙湯」は、約500年前に明王朝の宮廷御医が皇帝のために考案したと伝えられます。その100年後、ようやく庶民の元まで広がったようです。


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