和漢のいろは Wakan no iroha
君臣佐使のルールとは?
こんにちは、漢方薬膳アドバイザーの杏仁美友です。
薬膳セミナーなどをしていると、「薬膳はシステマチックですよね」といわれることがあります。まさにその通り!薬膳は料理ですが、体系的な中医学にのっとった調理法。哲学なんです。今回は、薬膳でも用いられる、中医学を取り入れた漢方薬の組み立て法。「君臣佐使(くんしんさし)」を、システマチックにご紹介しましょう。
◆薬膳的に「君」は一国の主
漢方薬は、絶妙な黄金比のルールで生薬同士が組み合わされているのですが、必ず入っているのが「君薬」です。君薬とは、その治療に必要な役割を担う薬のこと。君とは君子の意味で、国王や大統領、日本では首相といったところでしょうか。葛根湯なら葛根(くずの根)が主薬で、ゾクゾクと悪寒がして、首筋や肩が凝る状態を緩和する作用があります。
◆「臣」は君をサポートする補佐官
「臣薬」は、主薬を助ける薬を指します。首相を補佐する官房長官役です。「ポテトサラダ」を作る時、一番大事なのはじゃがいもですね。でもにんじんや玉ねぎをいれることで、色合いや食感がアップ。それだけでなく、にんじんがじゃがいもの消化を助けたり、玉ねぎが気のめぐりをよくして膨満感を緩和することができます。
◆「佐」は薬の毒性を軽減
「佐薬」には、君や臣の作用を高めたり、君や臣の毒性や薬効が強すぎる場合、その作用を軽減させたり抑制させる役目があります。「冬瓜」は利尿作用が高く、むくみに効果的、でもカラダを冷やすのが難点です。しかし、カラダを温める生姜や海老と一緒に煮込むことで解決。冬瓜そのものの寒性は変わりませんが、料理そのものは少し温性に傾きます。
◆「使」はみんなの調整役
「使薬」は、漢方薬では「引経薬」といって、効いてほしい部位に導く生薬だったり、組み合わせた方剤の味を調和する働きがあります。漢方薬には、7~8割ほど甘草が配合されています。これはそれぞれの生薬の味をまとめたり、飲みやすくするのに欠かせない調和役でもあります。薬膳で置き換えると、それぞれの味を引き出したり、美味しくする調味料や油などがこれにあたります。
皆さんも、食べた料理を「君臣佐使」で分析してみてはいかがでしょうか。おいしい料理がよりおいしく感じられるはずですよ。
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