和漢のいろは Wakan no iroha
冬の3か月を乗り切る養生
冬の3か月を乗り切る養生
皆様、こんにちは。和漢SINCAスタッフです。立冬を過ぎ、暦の上では「冬」になりましたが、体温調節が難しく過ごしづらい日々が続いています。朝晩の寒暖差も大きくて、体調を崩している方が多いとの報道も。今回は古典「黄帝内経」に基づいた「冬の過ごし方」についてお話いたします。
冬の3か月間「閉蔵」
漢方の古典「黄帝内経(こうていだいけい)」には、このような記述があります。
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冬は草木が枯れ落ち、穀物は倉(蔵)の中に
しまい込まれ、動物は冬籠りするように、
すべてが閉塞して陽気(エネルギー)を外に出さない季節
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立冬からの立春までの3ヵ月間は、冬の3ヵ月間で「閉蔵(へいぞう)」の季節と言われます。では、「閉臓(へいぞう)」の最適な過ごし方とはどんなものでしょうか?
冬の季節に調和した養生法
黄帝内経の中にはこのように記されています。「この季節には、早く眠り日の出に合わせてややゆっくりと起き、心静かに過ごし、寒冷を避け温かく保ち、また汗をかいて陽気を失われないようにする。これが冬の季節に調和した養生法であります。もし、養生法に逆らって、気が動転したり、寒冷にさらされたりすると、腎を傷害し、春になって手足が萎えて冷えるとされています。」
養生のポイント
ポイントは・・
★早めの就寝
★心穏やかに
★体を冷やさず、温めるようにしてすごす
★汗をかきすぎて陽の気が失われすぎるもの避ける
日頃の注意点として、このあたりが重要です。
腎について
ここで、「腎」の臓の役割に触れておきましょう!五臓の中の腎。内臓としての「腎臓」だけでなく成長や老化、生殖に深くかかわる「精(生命エネルギー)」を貯蔵する器官です。自己免疫の維持や骨や髪、歯、耳の機能維持も担っています。加齢に伴うものにより徐々に体に起きる変化は腎に関わるものが多いです。そこに過労、精神疲労、睡眠不足、過度の性行為が加わるとさらに「腎」やその関係する箇所の機能が低下してしまうと言われています。
腎が重要な理由
腎の中に貯蔵されている「精」はろうそくの「ろう」、生命エネルギーはそこに灯る火にも例えられます。先ほどの後天的要素はこの「ろう」の減少スピードを早める行為。また腎を守る生活習慣は、後天的に「精」を補って年齢を重ねてもすこやかでいられる秘訣です。
冬に腎の機能を補い元気にする素材
和漢素材:阿膠 鹿膠 亀板膠 冬虫夏草
食材:黒いもの(黒豆 黒ゴマ 昆布 わかめ)羊肉 クルミ 山芋
冬はゆっくり湯船に
まだ温かい日もありますが、これからは体を冷やさないようにすることが大切。シャワーで済ませていた方はなるべく湯舟につかり、外気で冷えた体を1日1回はしっかり温めるようにしましょう。熱すぎる温度や長(すぎ)風呂は逆効果!黄帝内経にもあるように「汗」をかくことは体を温めてくれる「陽気」を発散することに。運動同様お風呂でも良かれと思って汗をかきすぎると陽気の消耗につながります。また熱すぎる温度のお湯は、交感神経を刺激して睡眠の質の低下に・・ぬるめ40℃~41℃ほどのお湯に20分ほど浸かって体を徐々に温めるようにしましょう。
冬におススメのお肉
「羊(ラム・マトン)」
効果:気を補い疲労回復、体の内側、特に腎を温める。
中々食べる機会が少ないお肉ですが、体を温める機能が高く、冬にぴったりの食材です。
【羊肉のぽかぽかスープ】
※臭みがあるので、生姜のしぼり汁と料理酒に予め30分ほど漬け込んでください。
①羊100g~120gは油で軽く炒めておく。(完全に火が通らなくてOK)
②約1Lのお水、鶏がらスープ大さじ1、料理酒大さじ2を加えてネギのぶつ切り、生姜のスライスを入れて沸騰させます。
③お鍋がグラグラしたら、傷めておいた羊肉とキノコ類を加えます。さらに弱火~中火にして煮込んでください。
④灰汁がでるので取り除き、最後に塩、こしょう、醤油で味を調えて出来上がりです。
監修:Dr.Tei Ken
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