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和漢のいろは Wakan no iroha

2024.06.17

アキョウの価値を歴史からみる

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アキョウの価値を歴史からみる

皆様、こんにちは。Dr.Tei Kenです。暑い毎日が続いていますがお元気ですか。今日は偽物が多いアキョウの歴史に関するお話です。

アキョウの歴史は繰り返す?

以前、アキョウが密輸される程に価値が高まっていることを紹介しました。いくら高級漢方とはいえ、急激な高騰が続く理由とは?今回は2500年の歴史があるアキョウを、歴史的な文献をもとに紐解いていきます。

【参考文献】

1061年(中国・北宋)『本草図経』。蘇頌が編纂したもの。
1578年(中国・明)『本草綱目』。李時珍が編纂したもの。
1803年(日本・享和3年、徳川家斉将軍)『本草綱目啓蒙』。小野蘭山の「本草綱目」の講義筆記を孫小野職孝や門人が整理刊行したもの。

アキョウ、市場から姿を消す

『本草綱目』では「(蘇)頌が曰く、真膠は極めて得難い。商品の多くは偽物だ」と記載されています。これによると、約1000年前(宋時代)すでに本物は「極めて得難い」といわれているのです。流通していたものがほぼ偽物だったことが分かります。価格に関しては不明です。しかしこのような状況下では、本物のアキョウは決して安くなかったと考えられます。

アキョウは宮廷専用

『本草綱目啓蒙』では「明ノ宣宗宣徳ノ時…故昼夜監造以供内用、而民間不可嘗得矣。至肆中真者絶跡」と記載されています。訳すと“明時代の宣宗宣徳皇帝(1426~1435年)の時代。厳戒監視体制の下、昼夜問わずアキョウを製造した。作られたアキョウは宮廷専用としたため、民間人は全く手に入れられず。市場から本物は姿を消した。”となります。

本物のアキョウ

他にも興味深い記載があります。訳すと“崇禎(明の最後の皇帝)15年(1642年)の11月、東阿県知事呉汝宗は、皇帝の命令を受けて本物のアキョウの製造を監督した。”となります。ひとつの漢方薬の製造に類をみない大掛かりな体制が敷かれていることから、その貴重さが伺えます。ちなみに別の資料によると、明時代の県知事さえ、本物が購入できなかったようです。

アキョウの今後

2500年の時が経ち、偽物アキョウが横行する過去と似たような光景が今、漢方の本場中国で繰り広げられています。日本の方にとっては、理解し難いと思います。これは2500年の薬用そして食用の歴史が関係しています。無くなると困るものとして、常に価値を人々に知らしめてきたからこそではないでしょうか。今後もアキョウは、ますます値上がりそうです。

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