和漢のいろは Wakan no iroha
エゾシカ由来の由緒ある生薬
皆様、こんにちは。Dr.Tei Kenです。
ロクキョウとは、北海道のエゾシカからつくられた国産和漢素材です。その奥深い力を改めて詳しくご紹介したいと思います。
漢方生薬としての可能性
エゾシカは北海道を代表する大型哺乳類です。平成30年度の推定生息数は約66万頭。近年、分布域は急速に拡大し、生息数も増大。農林業被害や交通事故の増加などが深刻な社会問題となっています。農林業被害額は昭和60年代頃から急増し始め、平成23年度には64億円に達しました。その後行政による各種対策の結果、減少傾向が見られました。しかし、平成30年度は38億6千万円となり、依然として高水準です。こうしたことからエゾシカは資源としての有効活用が求められています。北海道では食肉としての活用を重点的に進めています。私はエゾシカを大切な森林資源として、食肉以外にも漢方薬材として活用の可能性があると考えました。
歴史と価値の高さを知る
エゾシカとは、シカ科シカ属に分類されるニホンジカの亜種です。「ニホンジカ」といっても日本だけに生息するわけではありません。中国やロシア、ベトナムまでの東アジアに広く分布しています。漢方の本場・中国では、鹿は縁起のいい霊獣とされ、食肉としてより貴重な漢方原料として大切にされています。鹿は滋養強壮効果が高く、その価値が広く認知され、鹿に由来する生薬、医薬品が数多く流通しています。
生薬としての歴史
鹿は生薬として最も長い歴史があります。いくつかご紹介しましょう。
中国最古の医書『五十二病方』
鹿の薬用を記した古代文献は、中国最古の医書『五十二病方』。『五十二病方』には「膠(にかわ)」の処方が記載。
神農本草経
中国最古の本草書『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』から始まりました。『神農本草経』には、鹿角から製した鹿角膠は「白膠」の名で『神農本草経』の上品(じょうほん)〔養命薬、無毒で長期服用が可能。身体を軽くし元気を益し不老長寿の作用がある。「日本薬学会HPより」〕として収載。傷中労絶、腰痛るい痩をつかさどり、補中益気の効能がある。また婦人の閉経や不妊、止痛安胎に用いられると記されています。
中国薬典(2015)
現代中国において、医薬品国家標準の『中国薬典(2015)』にも鹿角膠が収録されています。鹿は2500年もの間使用され続けています。
(次回、生薬としての鹿の活用へ続く)
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